死亡や高度障害だけじゃない、こんな時にも適用できる新しい団体信用生命保険

死亡や高度障害だけじゃない、こんな時にも適用できる新しい団体信用生命保険

大島 剛

住宅ローン返済中の「万が一」に備えるための団体信用生命保険

住宅を購入する際、多くの人が銀行など金融機関から住宅ローンを借り、35年といった長い期間をかけてローンを返済します。住宅ローンを借りるときの心配ごとのひとつに、「もし返済途中で、家計を支えるママやパパが、病気やケガで働けなくなったり、不幸にも高度障害や最悪死亡、なんてことになってしまったらどうしよう?」という不安があると思います。もし「万が一」のことが起こり仕事が続けられず収入が途絶えてしまったら、ローンを返済していくことが難しくなってしまうからです。ローンの返済ができなくなると、最悪の場合、せっかく手に入れたマイホームを手放す決断をしなければならないかも知れません。

そういったリスクを回避するために存在するのが「団体信用生命保険」、通称「団信」(だんしん)です。団信とは、ローンの返済途中に、住宅ローンの借り主に万が一のことが起きた場合、ローンの残額を団信の保険金で補填し完済扱いにする保険商品のこと。残された家族が住宅ローンの返済を引き継ぐことなく、安心してマイホームに住み続けられるしくみです。多くの住宅ローンが、この団信への加入を条件としています。

団信に対するニーズの多様化

借り主の「万が一」に備えるための団信ですが、最近ではそのニーズも多様化し、借り主の死亡や高度障害以外の場合を保障するものも存在します。

例えば、「がんや心筋梗塞、脳卒中を患った」、「病気やケガで働けなくなってしまった」、「交通事故にあって入院した」などのケース。借り主がこうした状況に陥ると、仕事を休んだり続けられなくなることで収入が減ったり途絶えてしまうにもかかわらず、ローンの返済は続くため、大きな経済的負担を抱えることになります。しかし、死亡・高度障害だけを保障するシンプルな団信では、このようなケースは保障されませんでした。

しかし最近では、医療技術の進歩を背景に、新しいタイプの疾病保障つき団信というのも選べるようになってきています。がんをはじめとする重篤な病気になっても回復し、もとの生活を取り戻せる確率も高まるなか、就業不能状態(=働けない状態)や、生活を共に支える配偶者の病気も保障するオプション(追加の選択肢)を提供する団信も登場しています。

一般の保険との違い:団信は“家をまもる”保険

高度障害

病気や事故にあうリスクに備えるには、一般的には「医療保険」や「自動車保険」があります。もちろんこれらの保険でも、病気や事故に対する経済的リスクを回避できます。だからと言って、住宅ローンを組むときに「もう保険には入っているから、団信は必要ない」と考えることはあまりおすすめできません。

例えば医療保険は、病気やケガの治療費に備えるもの。一方、疾病保障つき団信はローンの債務を保障していますので、保障の目的が全く異なるのです。特に重度の病気や交通事故によるケガなどの場合は、治療が長期化し保険だけではカバーしきれないさまざまな費用を負担することになります。また、治療が長期化した場合、雇用保険や社会保険だけで従来の収入をカバーすることは難しいでしょう。借り主が会社員の場合、やむを得ず会社を退職、転職を余儀なくされ、結果的に収入が大きく減少してしまうことも少なくありません。

住宅ローンを選ぶ時には団信にも注目しよう

長ければ35年にもおよぶ住宅ローンの返済の間、どのようなリスクが起きるか予測できない時代です。住宅ローンを借り入れる際は、団信をはじめさまざまなリスク回避の手段があります。少額の手数料や保険料を惜しんだがために、あとになって「万が一」のことに遭遇し「あのとき保険に入っておけば良かった」と後悔することがないよう、保険の内容をよく理解して選ぶことをおすすめします。
今、住宅ローンを検討されている方は「団信にはがんになったときや、働けなくなったときのためのオプションは付いているか?」という観点で住宅ローンを選んでみるのもよいでしょう。

公開日:2016年09月28日

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大島 剛

【ライター】1971年生まれ。1995年、あさひ銀行(現りそな銀行)に入行。個人向け住宅ローンの貸付、および中小企業向け融資の審査などを担当。2011年、同行退社の上、独立。株式会社ロケットを創業。電子書籍やホームページ、スマートフォンアプリなどデジタルコンテンツの制作、販売を主に事業を行う。また平行して、FP技能士3級を取得。「Smart for Future」 (よりスマートな未来のために)というビジョンのもと、ファイナンスとITで社会に貢献できるよう活動している。

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